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「ギャラリー借りるくらいならサーバー借りろ」と昔よく言っていて今もそうは思っているんだけど、ポートフォリオをまとめる場合、どうやったら見られるかだけを考えると、独自ドメインで自分のサイトという形態が効率的かというと、そうとは思わない。そもそもこれだけタダでサービスが沢山ある今、別に独自ドメインまで充実させるものでもないと思う。それを逆にとって「ここまで手入れが行き届いていますよ」というポーズにのみに使うものとしては未だ信憑性があるって感じ。少なくとも自分のような人は内容はさておき、そういうところで判断しちゃう。

それを踏まえた上で、会社を辞めてとりあえずはポートフォリオをまとめるには自分のドメイン以外にするのは決めていた。水たまりに笹舟を浮かべて自分で眺めるよりも、流れのある川に投じた方がいいだろうと、そう思ったわけだ。そういった大きな流れが予め用意されていて、より広がりがあるという点に加えて、その反応をAnalyticsなどのウェブ解析よりも、もっと嗜好や評価という形で見てみたかったから、というのもある。そこで、いくつか好きなポートフォリオポータルやクリエイティブマガジンなどはあったが、結果Behanceを選んだ。理由は、単純に今いちばん母数やアクティビティが高いと感じるのと、個人のポートフォリオのカスタマイズ性が低く制限されていること、ジャンルやクオリティに幅があるということ。

例えば、他の有名どころだと、Cargoやpersonaのようにカスタマイズ性も高く、登録してるデザイナーのアクも強い印象があるので、ちょっと違う。Behanceのように、ポートフォリオの中身以外のフレームは一律同じ条件という点が公平で明快。さらに良いデザイナーも良くないデザイナーも同じくらいいるという点も、Behanceの方が幅があって、流す川としては良い。TumblrもCargoと似た理由でナシ。加えて、BehanceやCargo/personaには一応名目上だがイメージソースではなく個人の著作物置き場みたいな大義名分があるが、Tumblrは皆の画像置き場って印象が今でも自分の中では強いので、それをメインでポートフォリオとして使用しているのは、3年くらい前まではまだ良かったかもしれないけど、今はちょっと学生ノリの延長っぽいのでやめた。
ただ、ある時期には多分日本で一番くらいCargoのアクティビティで使っていた時もあったし、Tumblrも人のLikesを覗くくらいには使っていたので、たまにいる主要なサービス全部でポートフォリオ更新してる海外の強豪みたいな、3番手・4番手としてまとめる体力があったらやりたい。ちなみにサービス(PC)としてよく出来てるのは、Cargo/persona > Tumblr > Behanceくらいのレベルの差を感じる。Cargo/personaはメインのデザインエンジニアの趣味が良い。あとは自分のドメインでの掲載についても、もう5年以上何もしていないので、そちらも新しいWORKSページを今年中には作ろうと思っている。
肝心のポートフォリオをまとめて公開した後は、割とすぐにBehanceのFeaturedにいくつか載ったり、好きだったWatson/DGのADとメッセージしたりして、それは良かった。5年くらい見る専で使っていたので、アクティビティは昔からの変わらないが、成果を管理するようになると、Behanceの管理画面などノウハウの集積した考え方や設計が随所にあって、仕事でポートフォリオサイトを作る側の身としては別の視点で勉強になる事が多かった。でも改めてポートフォリオをまとめるために素材をしっかりと見せるように作り直すのはかなり体力が必要だった。

それと家で作業するのを、考えなおしてみようかというのも最近はある。内見というか見学というか、実際に場所を見に行ったりもした。作業環境としてだけ見れば、家で完全に集中してる時が良い。この相性については、受験勉強を家でできる派かわざわざ塾の自習室にしに行く派なのかという相性な気がする。ちなみに見学した所では、人間が常に行き交っていて大学の厚生棟や部室棟みたいな感じだった。現状はひとつ仕事をして、その成果を誰かがどこかで見ていてとか、同じプロデューサーからとか、仕事の関係性の広がりのコスパがあまり良い感触がない。さらにその中でも、グラフィックやデジタル系やカメラマンなど、新しい人間関係も制作者側のフィールドの人たちが多い。それ自体はスキルや実績と同じくらい持つべき財産なんだけど、その分野をもっと深く高く広く、生産者のような人とつながってみたい。

でも実際いちばんの動機は、単純に自分の中の停滞して沈んでいる感じをどうにかしたいってのが強いのかもしれない。流れのない水たまりがとても透き通った透明な部分と沈殿したドクドクした部分を持ち合わせるように、この一年間で自分の内面に対してはとても繊細になり、他人(というか主に仕事相手)に対してはかなり図太い性格になってしまったと思う。他人に対しても責任を負うことが増えたからなのか、性格がいっそう悪くなった。